アクセスディンギー





2003年11月日本セーリング連盟指導者講習会


ユニバーサルデザイン


アクセスディンギーはユニバーサルデザインのディンギーです。

セーリングの経験の無い方、高齢者、子供、そして殆どあらゆる障害を持つ方が自分でセーリングできるように工夫されています。
主な特徴は次の通りです。

通常ディンギーは横を向いて甲板に座って操船しています。アクセスディンギーは基本的に進んでいる方向に向かって座っているので、前から来た障害物を見逃す事は通常ありませんし、この自然な姿勢は水夫に安心感を与えます

水を通すナイロン製のハンモック・シートは船底から5センチほど浮いた位置に座る事になります。通常のディンギーの体の位置よりも低く、安定を増す事に貢献しています。又、ハンモック・シートは衣類をぬらさないで済ますことを可能にします。 特別な衣類を必要としないとは、好奇心から始める人にとっては重要な事です。

ディンギーの舵の操作は初めて乗る人には混乱を生じさせます。

アクセスディンギーはその混乱を生じさせる事はありません、

この点についてはいろんな方が転覆させるためにいろんな試みをされていますが転覆する事はありません。 ですから、アクセスディンギーで行っている限り、水夫の安全の為に必要な「沈起こし」の練習は必要ありません。

ブームが大きく上に上がっていますのでブームパンチがありません、又、水夫は座ったままの姿勢で必要な全ての操作ができますので、通常ブームパンチをする心配はありません。

アクセスディンギーの特徴のもたらすもの

上記の特徴が、もたらしている主なものは次のようになります。

特別なセーリング用のドライスーツやシューズを揃えなくともセーリングを始める事ができます。

逆の操作を身につけなくとも,とっさに自分の安全を守ることができます(特に接触の場合) 

アクセスディンギーではタックもジャイブも同じように安全に行うことができます。

安全上ヨットを始める時点でこれらの全てを習得しなくてはならない通常のディンギーヨットでは、この問題の解決は、個人に長い時間を必要とし、モチベーションを持ち続ける大きな障害になっています。

アクセスディンギーでセーリングを始めるために必要なものは、通常のディンギーヨットで始めるセーリングとは異なるものになります。

セーリングやヨットの特殊な知識は、アクセスディンギーでセーリングを始める人にとって、殆ど興味がありませんし、必要ではありません。
必要なものは安全と健康を守ることです。それとそこに集いたくなるような雰囲気を持つことです。


 

アクセスディンギーのプログラムで徳をするのは誰?

最も徳をするのは、素敵なレクレーションでもありスポーツでもあるセーリングをアクセスディンギーで始める事ができた人達です。 しかし、この人達は、アクセスディンギーのプログラムが始まるまでセーリングの楽しさを知りませんし発言する事ができません。

今まで来るとは考えられなかった人達が、マリーナや施設にやってくることは国民の税金を投入して建設されている施設にとって最も必要です、同時に、アクセスディンギーを通じて地域のまちづくりに貢献できる事はその存在意義を増す事にもなり、訪問者の増加はマリーナで働いている人達の職の確保にもつながります。

新しい人達の参加が、セーラーの人達に大きな利益になる事を理解していただく事は少し考えれば簡単です。

ヨットが一部の金持ちのスポーツだという印象を待たれている限り、誰もセーリングに加わる事が出来るとは思わないでしょう。

新しい参入者が増える事は、セーラーにとって決して邪魔者が増える事ではありません、今のセーラーを支持する仲間が増える事です。何故オリンピックで銀メダルをとってもヨットの金メダリストとマラソンの銀メダリストの有名度が異なるのでしょうか?何故プロ野球の松井はみんなが応援しているのに、日本のプロセーラーは、何故その存在も知られていないのでしょうか?

それは仲間があまりにも少なすぎるからです。このことをセーリングの組織は教育し、宣伝する義務があります。
どんなエリートセーラーも、最初はビギナーです、優れたビギナープログラムを持たずにエリートレベルだけの活動だけで、セーリングが普及する事は永遠にありません。

 

アクセスディンギーのプログラムを始めるために殆ど新たな施設を作る必要はありません。
又、小さな水域でも小さな設備で【乗り降りのための桟橋】手軽に始める事ができますし、燃料などの維持費も不要で、小さなグループ(コミュニティ)でプログラムを始める事が可能です。

アクセスディンギーの活動は、障害者も含むユニバーサルデザインをコンセプトとする活動です。


江ノ島の活動

2002年の活動

l         セイラビリティジャパン(SJ)のアクセスディンギーを使用して、江ノ島ヨットハーバーにアクセスディンギーを持ち込み、日大の学生ボランティアグループと協力して体験会を行う。

l         2002年夏から、江ノ島ヨットクラブの協力で、アクセスディンギーを江ノ島ヨットハーバーにおいてもらうことが出来た。このことで経費が大変助かり体験会の回数を増やす事が出来一年で11回の体験会を行った。

l         2003年に入り、鰹テ南なぎさパークの協力が江ノ島ヨットクラブを通じてもらえるようになった。唯、イベントとしての活動では、協力できる団体も日常の活動として取り入れることは出来ないというのが現状だった。

l         鰹テ南なぎさパーク、江ノ島ヨットクラブ、セイラビリティ湘南(日大学生ボランティア)、SJで計画を進めることになった。

l         前年度体験会参加者により、江ノ島にアクセスディンギーを設置して欲しいとの署名運動があり、計画の後押しになった。(資料参照

l         リコー鰍ゥらSJに寄付された2.3広幅シート1隻、鰹テ南なぎさパークが導入する303広幅シートの1隻、では、活動が難しくB&G財団からアクセスディンギー2.3広幅を借用する提案が出され、江ノ島ヨットクラブからお願いし、実現した。

l        ボランティアの組織化

l         インストラクタの資格と保険

A)既にセ―リング体験を十分持っており、指導経験やJSAFの各資格、小型船舶操縦士資格などの保有も参考にして、現時点で充分アクセスディンギーのインストラクタを御願いできる方達を対象に年間の指導者保険にEYCとして加入いたします。個人負担はありません。

下記(B)の方達と協力しながら全体の安全な運営にご協力ください。

   (B)セーリング経験少なく現在直ぐにはインストラクタ―としての活動は出来ないけれど、継続してボランテイア活動してくださる意思があり、今後の養成講座出席率、技術向上レベルなど参考にして正式に上記(A)の認定を得るまでの研修中の方達は、一般スポーツ障害保険に加入手続きをいたします。

A)の方達の指導を受け協力しながら、全体の活動にお力添えください。

C)一般体験希望者の個人の場合は、経過処置としてEYC団体分として体験機会を設けますが、体験費として半日200円と保険は個人負坦となります。


l         アクセスディンギーを日常の活動として続けるため人はボランティアで参加している方たちのレベルアップが必要と考え、活動の始まる前と後で講座を企画しました。(笹川スポーツエイド資金により実現しました。)

²        松本江ノ島ヨットクラブ会長、有馬EJYC顧問、佐野日大教授、小峯ライフセービング協会理事長、日高JASF委員、武村JSAF事務局長、松本真也49erコーチ等多彩な講師を招き、夫々の分野の御話をしていただきました。

l         江ノ島ヨットハーバーでは毎月第2水曜日と第3土曜日江ノ島ヨットクラブ・セイラビリティ湘南の協力で体験会を続ける事が出来ました。

個人の貸し出しは、行っていません、個人は江ノ島ヨットクラブ、あるいは団体として(学校クラブ単位など)申し込みが必要です。

 


横浜みなとみらいの体験会

 

江ノ島から引き上げたアクセスディンギー2隻を使いみなとみらい「日本丸公園」内野帆船ドックで2003年5月より、NPO法人海洋塾と協力して、体験会を原則毎週日曜日に体験会を行う企画を立てました。

l         幅最大で35m長さは60mしか無く非常に小さな水面での体験会。

l         大きな建物の間にあり風は一定していないが、水面が波立つ心配が無く、風で中止を考える必要は殆どない。

l         みなとみらいではカヌーを救助艇として使っているが、現実には陸からディンギーの方向を変えることが出来、必要を感じた事はない。

l         柵のなかで体験会をしていて、テーブルなどを出して、休憩している人達同士の話が弾みコミュニティの芽生えが見られ、また参加している意識ではなく自前で自分達が自分達のために行うという意識が芽生えてくる。

l         セーリングの理論については、全く教えていません。乗っていて動かなくなった時に声をかける以外は自由にするように告げています。従ってここではインストラクターと言う考え方は持たないようにボランティアの皆さんに言っています(実際はセーリングの経験のあるボランティアはいません。カヌーが主流です。)

l         江ノ島でも同じでが、みなとみらいでは、最後にほめる事を心がけてもらっています。

 

マリーナではない水面を利用してのセーリング活動としては、良い事例になると考えています。

アクセスディンギーの活動を始めるためには大きな施設を必要としません。

今後この規模のクラブが、自主的活動として定着して主流にしてゆくのが、セイラビリティのミッションだと考えています。

 

NPO法人海洋塾では、日本丸公園内でのアクセスディンギーの活動が始めたいと考えて、横浜市港湾局などに働きかけています。

 

アクセスディンギーは、エントリーレベルの最適なプログラムを提供できるボートです。
セーリングをスポーツとして認識していない人にセーリングの魅力を浸透させる困難な仕事をやってのける為に、アクセスディンギーの活動は必要です。
私達は、セーリングと言うレクレーションが今の日本の社会に必要なものだという事を知っています。
セーリングから社会を変えてゆくのはJSAFの重要な責務でもあるのではないでしょうか?。